USA旅行記①

ついに海外出張が決まってしまった。
ついにというのは、うちの会社では旅行代理店とタイアップして、スポンサーやメーカー、商社のお客さんを招待して海外の展示会を見て回るツアーを組んでいるのだ。それで毎年うちの会社からひとりツアーに同行するのわけなのだが、ここ数年ぼくはなんとか言い訳をつけてその当番から逃げ回っていた。
「タダで海外にいけて観光もできるのに」と口を揃えてみんな羨ましがるが、ぼくには大きな2つの問題を抱えていた。ひとつ目は「飛行機恐怖症」だ。元来、高所恐怖症の上、あの雲の上を飛び回る鉄の塊が遊園地の絶叫マシンと同じ感覚で、ぼくが乗ると墜落するのではないかとイメージしてしまう。過去に何度か飛行機に機上したが、景色を見る余裕もなく脂汗をハンカチで拭うぼくのとなりで、子どもたちが「富士山、富士山~!」と騒いで窓からカメラで撮影している姿に、ぼくは本気で後ろからひっ羽叩いてやろうかと思った。
ふたつ目は、「言葉」の問題である。小生、この時代にあろうことか英語がまったくわからない。何しろ高校時代にアルファベットを学んでいたほどの、頭の弱さである。仮にポンとアメリカの街に放り投げられたらあっけなくくたばるだろう。それほど英語(外国語)には苦手意識が強く敬遠してきた。
しかも今回の行き先が「シカゴ」と「ロサンゼルス」という、初めて海外に行く者には難易度が高いゆえ、正直、映画やブルジョアたちの遠い世界の場所だと思っていた。
出発が近づくつれ、ぼくは日に日にいろんな意味で緊張し、前日の夜は興奮して眠れなかった。とりあえずお守りをしこたま忍ばせて集合場所である成田空港に向かったのだった。