ザ・魔雲天

有名な登山家は「何故山に登るのか?」と問われて「目の前に山があるからだ」と答えたそうだが、山と言えば漫画のキン肉マンに登場する悪魔将軍の「ザ・魔雲天」を思い出すのはぼくだけだろうか。そんなことはどうでもいいのだが、先日、二十数年振りに「山登り」にチャレンジしてきた。最近、友人が山登りに肩を入れて登山の魅力を力説し以前から声をかけてくれていたのだが、こちとら素人である。服装から装備から全くの無知であり、この極寒の中、麓はおろか山は深雪に包まれとても素人が手を出す聖域ではない。
そんなこともあり、初めは近場の「金剛山」や「葛城山」などピックアップしていたが、さすがに前日の寒波の影響もあって大阪府和泉市にある「槇尾山」に今回は絞った。
槇尾山」は標高600メートルほどの小山であり、登山というよりも標高500mくらいのところに行基空海ゆかりの古刹「施福寺」があって、登り坂の多い参道といった感じで、近所の方が参拝と運動がてら登るような身近で気軽に赴く場所だそうだ。
ぼくらは槇尾山の麓まで車で行き、そこから頂上を目指すというプランを立てた。降車すると刺すような冷気が身体に沁みて、文字通り身が引き締まる思いがした。大げさなことを述べているが、実際は近所の幼稚園児でも登れるほどで、大人の足なら30分程度で山頂に到着すると聞いていた。しかし、この季節も関係しているのか、しんと静まり返った覆われた森林の中では、妙に神妙な気持ちにさせてくれた。参道をゆっくりと友人と話をしながら登っていると、数分でうっすらと額に汗が滲み、途中の踊り場では早くも手拭いで汗を拭き取る始末。ここ数日の寒波の影響もあって水溜まりなどには氷が張っており、つららや氷塊がそこらじゅうに転がっていた。相方は流石に慣れたもので、地図の見方ひとつにしても素人ではないとすぐに判別がつく。身なりやシューズも体をなし、素人がよく陥るが見た目の装備に羨望している自分がいる。
そうこうしているうちに見上げると、階段の向こうに寺らしきものを発見した。ぼくらは最後の階段を登りきると、そこにはゴールである施福寺が姿を現した。お参りを兼ねて賽銭を投げ、ベンチに腰をかけて改めて風景を眺めた。たかだか30分程度の勾配だか、初心者のおっさんには充足感でいっぱいだった。絶景に酔い、持参したカップラーメンを喰らう。旨い。空腹にはこの安っぽくて濃厚な味がたまらない。ぼくらの火照った身体にひんやりとした山の空気が絶妙な体温を生み出し、ただただこの時間を共有したかった。
ちなみに境内からは南東に岩湧山、東に金剛山が眺望でき、春は桜、秋は紅葉が楽しめるので、関西在住の方は一度足を運んでみてはいかがだろうか。
ぼくは下山しながら、「また新しい趣味ができたな」と悠々と俗世間に戻ったが、心残りは「山ガール」と対面できなかったことか。挙句にはせっかくカメラに収めた風景を操作ミスで消去してしまうというミステイク。辛うじて残っていた写真を掲載しておきます。

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