サン・トワ・ミー

今年も約束通り、クリスマスがやってきた。なにやら巷では「クリぼっち」という言葉が流行しているみたいだが、ここ数年、「草食男子」という言葉に包括されるように、殊更若い成人男性の不感症が際だって見受けられる。ぼくもそのカテゴリーに分類されているのであれば、納得もするのだが、若くもなく、性欲はあるのに相手がいないという、個人のゆいしき問題なのでは話にならない。
晩秋に、失恋をした(こう書くと一般的な恋愛を経験していると思われるが、単なる一方的な片思いである)。自分でも思いのほか、傷口が大きいので動揺した。中高生女子が経験する、初めて意中の男性に告白して振られたような、制御できない切なさや悔しさと苦いコーヒーを飲んだあとのほろ苦くも妙な優越感が混同し、ぼくは数日間、何も考えられなかった。
そんなひと肌恋しい季節に吉兆が訪れた。いつもの居酒屋の大将が常連客やその仲間を呼んで、クリスマスパーティーを開催するからと、お声がかかった。チャンスである。まさに僥倖。お店の常連ではあるが、他のお客さんとは会釈程度で素性を知らない人がほとんどだ。マスター曰く、「若くてかわいい女性がたくさん来るよ」の言葉に血圧が上がり、この機会に仲良くなって、脱独り身生活といきたいところである。
当日は夕方まで仕事だったので、店に向かう途中にプレゼント交換用のお土産をビレッジバンガードで購入してから、お店に向かった。暖簾をくぐるとサンタのコスチュームを来たマスター夫妻が出迎えてくれたが、何かおかしい。というより参加者が少ない。多分みんな遅れてくるのだろうと、マスターに聞いてみると、「すまん。すまん。何組かドタキャンになってよ。これだけや」。ため息なんてついていられない。数少ない女性人にアピールしなくてはならない。女性人はぼくより年上の方々だったが、話題も豊富で楽しく会話についていけた。連絡先も無事に交換し、また会う約束を交わすことができた。これからどういう展開になるのかわからないが、何かあればこのブログで報告させてもらいます。
料理はマスター夫妻が腕を振るい、クリスマスに相応しくケーキも用意していただいた。パーティーも終わり、外に出ると肌を刺すような冷気が身体に堪えた。夜のしじまに白い吐息が消えていき、みんなと別れてひとりで駅に向かった。突如、どうしようもない侘しさが全身を纏い、脳裏に「サン・トワ・ミー」が流れはじめていた(因みにRCサクセションVer)。まだ傷は癒えてないのかもしれない。ぼくは車窓に映る赤い顔をただ見つめながら、「来年は良いことがありますように」と投げやりな願いごとを誰かに頼んでから目を閉じた。

本年からスタートしたこのブログも、今年最後の更新となりました。来年以降も細々と日々の出来事を綴ってまいりますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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