ウェディング・ソング②

式場は京都市役所前から程近く、京都風情を意識しつつ落ち着いたきれいな会場だった。到着すると学生時代の仲間が何人か集まっていた。彼らは皆関東に在住なので、前乗りした者もいれば当日夜行バスで来た者もいる。久しぶりに彼らと対面してが、案外ぼくらが出会った二十歳のころとさほど変わらないものだ。年齢の割に若く映り、多少の体重の増減や肌艶の劣化を見受けても、まだまだみんな若いなと感心してしまった。初めは月日の経過がもたらすのか、みんなどこかぎこちなく会話に素が生まれたが、照れくさい中でも少しずつ打ち解けあい、アルコールも入れば何度も聞いた話でばか笑いするまでにそう時間はかからなかった。
新郎の彼とは大学時代の仲間であり同じ学科の同級生でもある。当時彼は大学近くの藤井寺という大阪でもディ―プな町で下宿をしていた。仲間内ではいまでいうイケメンに属し、悔しいかな20年以上経ったいま、壇上でこれまた若くてきれいな伴侶を捕まえた男はさらに男前になっていた。思い返せば、下宿近くの焼き肉屋でバイトをし、大学を卒業して東京の専門学校に入学してから就職するも仕事を転々として、京都に戻って飲み屋で働きながら素敵なパートナーを射止めた。彼の紆余曲折した人生の断片がスクリーンに流れ出されると、一同が彼と過ごした時間を思い出したに違いない。同じく奥さんの歴史もそうであって、女の子たちは涙を浮かべてこの時間を共有し合っていた。正直、結婚式そのものは大したことはなかった。仲間内の余興やスピーチもなく、ふたりの希望もあってか淡々と進行されて、スムーズに式典は終了した。ただ出席したぼくらには確実に温かい何かがが残り、それが引き出物とともにお土産になれば充分な気がする。披露宴はふたりの幸せを切に願う象徴の場であり、決して会場の規模や内容や私財で物差しする場ではない。
披露宴終了後、集まった仲間で酒を交わした。当然、結婚していないぼくが話題を独占した。ましてやもうひとりの独身族が知らぬ間に籍を入れている事実を知り、取り残され気持ちで心が折れていた。「まあ、地道にやっていきますよ」と声を振り絞るのがやっとで、ぼくは思い出話と感傷と羨望を心に閉じ込め、台風が接近し交通機関に影響を及ぼしはじめたので、今回はここらで散会となった。

あらためまして幸治くん、久美子さん結婚おめでとう。お幸せに。

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