今夜も馬耳東風

宝塚記念」に参戦してきた。競馬である。お馬さんである。暮れの有馬記念と同じくファン投票で出走馬が決まるG1レースであり、初夏の仁川で熱い戦いが繰り広げられる上半期のグランプリ決定戦。それが年々出走馬の辞退が相次ぎ、今年も11頭立の寂しいメンツとなった。そんな中、ファンの注目はやはり「キタサンブラック」だったのではないだろうか。最近はテレビなどマスコミで取り上げられる機会も多いのでご存知の方も多いだろう。前走の天皇賞も快勝し、人気、実力ともに国内ナンバー1のキタサンブラックは、オーナーがあのサブちゃんこと北島三郎でジョッキーが武豊である。話題性もビジュアルも文句がないところだろう。
先に結果から記すが周知の通り、そのキタサンブラックは直線半ばでいつもの鋭さがなくずるずると後退。馬券圏内にも残らず、圧倒的な1番人気だったこともあり、波乱の結末に終わった。
当日は朝から雨が降り続け、梅雨の季節特有の汗ばむ蒸し暑い熱気が充満していた。サトノクラウンが1着でゴールした瞬間、場内はため息とどよめきが入り交じり、キタサン馬券が紙吹雪の如く宙に舞った。きっと彼らはサブちゃんと一緒に勝利の「祭り」を歌い、「今宵はお祭りだ」と意気揚々と目論んでいたはずに違いない。ぼくもそのひとりだった。
それにしても、これだけの大衆がひとつの場所に詰めかけるスポーツは競馬ぐらいではないだろうか。たかが3分ほどの馬のレースのためだけに、時には10万人をも超える観客が集合し一喜一憂する姿は、競馬をやらない人からすれば異界に映るだろう。
今回は残念な結果に終わったが、あらためてギャンブルは難しいと体現できた。誰しもが負ける姿を想像できない馬があっさりと負けて、大敗続きの駄馬が一変しぶっちぎりでゴールする。ギャンブルは一銭の金が何十万、何百万と化け、数千万の大金が一瞬に消えてなくなるものだ。興行的に成り立つのはそこなのだろう。
しかしまあ、競馬場を訪れる度に思うのだが、ほんとうに年代性別問わず、さまざまなに人間がいることに気づかされる。一昔前はオヤジたちの鉄火場として、アルコールとタバコの煙で覆いつくされ、一般人には近づきがたかった。カップルがいるものならしけた目で見られたものだが、近年はJRAのクリーンなイメージを全面に出す戦略が効を奏し、カップルや若い女の子たちだけのグループも多く訪れ、100円の馬券が当たってはしゃいでいる姿はそれはそれで微笑ましい光景である。いまや家族連れにも楽しめる「ポニー」の乗馬体験や人気のB級グルメ屋台の出店など、イベントにも工夫を凝らし大勢の人で賑わっている。
80近い老夫婦が仲良くシートを広げておにぎりを頬張り予想をたてていれば、ゴール前で「そのまま!」と血管が浮き出るほど声を張り上げている小汚いオヤジがいる。競馬場に来て、馬券の調子が悪いときは、深呼吸でもして競馬場内を探索するのもおすすめである。馬を見るより面白いかもしれない。

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