しんせかい・番外編

新世界を後にしたぼくらは、ふと、同じ感情を抱いていた。「飛田」って近いよな。昼間からのアルコールが拍車をかけている。「飛田」とは通称飛田新地のことで、西成区の山王地帯にある戦前から残る赤線、いわゆる遊郭である。大阪には他にも松島新地や信太山新地といった遊郭が残存し、その独特なやり取りや雰囲気が貴重とされ、なにぶんひた隠されるが映画にドキュメンタリー、小説などでいまなおフューチャーされている。
その一帯は、表向きは料亭、旅館だが長屋のように区画に連なり、スナックの名前にありがちな店名が桃燈のように掲げられている。基本的に呼び込みする女(基本的に年増な女性)の横に、座布団の上から手を振る二十歳前後の女の子がいる。特筆べきことは、その女の子が皆かわいいのである。ライトアップされ見映えするからか、どこかのアイドルグループか人気AV女優となんら遜色ないのである。通りを歩くたびに、おばちゃんの呼び込みとともに、セクシーなコスチュームと営業スマイル100点の笑顔で男性の心を誘惑してくる。いやが上でも顔はにやけてしまい、下半身は熱くなる。ぼくと友人は冷やかし半分で、メイン通りを歩きながら女の子を物色してみた。全国的にも有名なのか観光客や若者の団体が多く、あちこちの店先の前でなにやら値段交渉や情報収集に力を入れていた。
しかしながらこの時代にこういった色街が残っているのは、奇跡に近いのではないか。裏付けとして母体組織がしっかりしていることもあるだろうが、呼び込みのおばちゃんはじめ、キャストの女の子にしろ、世間体や偏見に屈しないプライドを心の奥底にしっかりと保持しているからであろう。それは開き直りや屈折した感情ではなく、純粋に旅客を案内しようとする矜持であり、サービス精神ではないだろうか。どちらにしろ、このアンダーグラウンドな世界をいつまでも存続していただきたいと切に思う。
システム自体は、女の子を指名し二階の個室でことを済ませるのだが、料金や時間など初めて来られる方は、事前に調べといたほうがいいだろう。この日は昼間に訪れたが、夜はさらに妖艶で怪しい光を放っている。また写真撮影は絶対禁止となっているのでご注意を。