しんせかい③

とりあえず、飯を喰らおうということで、串カツ屋に入ることにした。新世界の食べ物屋がすべて串カツ屋といっていいほど、チェーン店から個人営業まで、まあ、ひしめき合っている。店の前には若い従業員が元気のいい声で呼び込みをし、慣れたもので外国人や他府県の観光客にも臆することなく声をかけては店内に誘っていく。あの年齢であの営業努力は並みではない。感服する。
経験上、店選びは客がそこそこいるところがいい。この「そこそこ」が難しい。店の前を行っては帰って状況を把握するのだ。新世界の串カツ屋で有名な「だるま」はいつでも混んでいる。なので、ぼくらはワンランク下(単なる感覚にすぎない)の串カツ屋の暖簾をくぐった。店内は丁寧に油で塗装され、美味しそうな臭いが充満している。カウンターに腰を下ろし、串カツの盛り合わせと生中を頼んだ。晴天の休日の昼間にアルコールを摂取し、熱々の串カツを頬張ると、意味もなくふたりとも納得した。店を後にしたあとは、新世界を適当に巡り、帰りに通天閣を眺め写真に収めた。帰りにじゃんじゃん横丁を歩いていると、細い路地に懐かしい将棋指しを見つめるオヤジたちがいた。その顔は、やはりこの街でしか生きていけない人たちの顔であり、この街を愛している慈愛に満ちた眼差しだった。つかの間、その横でオヤジたちに囲まれた初老があぐらをかいて叫んでいた。ぼくらは互いに苦笑いを浮かべ、新世界を後にするのだった。

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