しんせかい②

ぼくらは昼前に天王寺駅で待ち合わせ、新世界まで運動がてら歩いて行くことにした。関西では認知されている天王寺動物園だが、この周辺は阿倍野再開発地区であり、あべのハルカスを筆頭にここ数年で大阪でも目覚ましく劇的に街全体が変貌した地域でもある。青春時代をこの街で過ごしてきたぼくには懐かしく、あの頃この界隈はまだ古き良き昔の面影を残していた。味のある呑み屋街、さびれた本屋、純喫茶など街を闊歩するだけで、けっこういけた。一方で、ニュースでも取り上げられた青空カラオケ屋台の強制撤去(詳しいことはまたどこかで)など、当時この周辺にいたホームレスの人たちは一体どこに行ってしまったのだろう。 今や若者やファミリーが楽しめるスペースに移り変わり、時代のニーズを取り入れた商業的な施設の場として週末は賑わっている。
ぼくらが当時の昔話に花を咲かせていると、忽然と「SINSEKAI」の入口が飛び出てきた。少し興奮している自分がいた。なんだこの高揚感。連休のせいか、やたら観光客が多い。外国人も多い。そんな外国人に「あんたは何人や?」と昼間からすでにできあがっている爺さんが、小粋なステップを踏みながら話しかけている。危ない。昔、道端で靴の片方だけを「100円」と書いて売っていたオヤジの姿を思い出した。遠くでは揉め事が起きているのか、奇声に近いオヤジたちの咆哮が耳に届く。ぼくは大袈裟ではなく、勇気を絞りだし足を踏み入れた。