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新入社員

会社の周りはオフィス街で、この季節になるとあちこちでスーツ姿の新入社員を目にすることができる。彼らは皆初々しく、あどけない顔を振り撒き慣れない敬語に苦戦しながらも、真新しいバックを片手に社会人のスタートを切ったところだ。まさに期待いっぱい夢いっぱいというところか。「最近の若者はどうだ」なんて、さらさら語るつもりはない。少なくともぼくが彼らと同じ年の頃より、現代の子達はほんとうにしっかりしていると思う。当時のぼくは大学を卒業できても就職も決まらず、悶々と不安を抱えながらバイト生活で食いつなぐ、無為な日々を過ごしていた。
先日、仕事で企業の入社式の取材に行ってきた。機械工具商社で関西では大手企業になるだろうか。毎年取材に行っているが、今年は男女合わせて15名の新入社員を迎い入れた。
初めに社長から激励の言葉を頂戴し、役員幹部らが仕事とは何ぞやと熱いメッセージが贈られると、彼らは緊張した面持ちの中、頷いてはメモを取るなど熱心に耳を傾けていた。どの子も皆、有名な大学を卒業している。中にはアメリカやヨーローッパなど海外に留学していたとか、インターンシップで経験を積みすでに商材の名前など熟知している子もいる。
ぼくは自己PRや目指していきたいことなど、順番に流暢に自己紹介をこなしていく彼らを傍観しながら、己の過去のみじめさに打ちひしがれていた。
話を聞くと最近の若者は安定志向が多いと聞く。福利厚生がしっかりしていて土日も休みが取れて、給料も良く、自分の趣味を両立できる企業が人気らしい。
彼らを見ていると、その年齢で「そこそこ人生」を計画して実践していくしたたかさの反面、もっと冒険してもいいのになと感じてしまう。確かに不安定な時代で少しでも安定した職に就くことが自分にとっても周りの人にとっても最良であることは間違いない。長い人生、あと50年あると思えば、20代の頃は自分の好きなことに打ち込める年齢でもある。就職もいいが、沢山遊んで人生経験を積んでからでも決して遅くはない。賢い道を選ぶには早すぎる。聞けばユーチューブなどで月収100万円を稼ぐ若者もいるそうだ(経緯や方法はわからないが)。自分のやりたいことを仕事にする。チャンスがあれば掴みにいかなければならい。
彼らのことが気づけば己に問いかけさせてくれていた。人生に勝ち組や負け組なんてないのだから。