業界紙の未来

ぼくは現在、工作機械や工具など周辺機器、また水回りを中心とした設備器材を扱う専門紙で記者として働いている。いわゆる業界紙というやつだ。一般の人にはなじみがないと思うが、例えば、農業、美容、化学、医療、石炭製品、 鉄鋼など、仕事の数だけその業界の情報発信の提供の媒体として業界紙が存在する。そんな業界紙だか、新聞社や出版社の第一の収入源といっていい広告がいまは集まらない。不況の中、企業は経費削減を実施し、まず見直すといえば広告費などの雑費が最優先であり、そうなるとおのずとわれわれ媒体に広告を掲載するのをやめる。広告サイズを小さくし、掲載料もいちばん安い金額に落ち着くのである。そうなると媒体側は数を集めなければ会社がなりたたないが、少ない牌に同業社が群がるので競争が激しくなり、少人数の会社や魅力のない媒体は倒産し淘汰され、この十数年で数えきれない専門紙が廃刊していった。追い討ちをかけるように現代はネット社会全盛期。紙媒体よりWebを利用したバナー広告などに注力し、また手軽に効果が得られ、HPと連動したフェイスブックなどSNSを活用する時代になった。若い世代は一般紙を購読せず、朝刊のみで夕刊を取らない家族も多いと聞く。

紙媒体は限界にきている。それは間違いないだろう。

 ただ、紙は紙の良さがあるのも確かである。勤めているから擁護するのではなく、記事を読むという行為は、同じニュースを検索エンジンで調べるのとまた別の脳が働く。どちらからいうと、ニュースを知るというより、画面で見て流すという感覚に近いかもしれない。記憶にあまり残らない。毎日PCやスマホで目にとめていても、脳の片隅に放置しがちではないだろうか。逆に新聞の見出しや記事を自らがすすんで読むという行為は、思いのほか記憶に残る。参考書、小説、なんでもいい。電子書籍ではなく、両手を使い、活字を追いながら頭に叩き込む本来の姿に現代人も見直す時かもしれない。PCやスマホは雨に弱いが、新聞紙は傘の代わりにもなるのだから。