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立ち食いスタイル

立ち食いそばが好きだ。そば屋ではなく「立ち食いそば」である。駅のホームの片隅やガード下、商店街の並びに佇むあの独特な店構え。店先から何とも言えない「出汁 」の甘辛い匂いに誘われて、数分後には割り箸を割っているのが必定。早くて、安くて、旨い。日本人にぴったりのこのシステムが劣化することは皆無である。「立ち食い」という、一見行儀の悪いこのスタイルに外国人は驚くかもしれない。それでも小生が通うのは、何より、四六時中開いているというのがうれしいではないか。夏の猛暑日にはざるそばが食べれて、冬の木枯らしに吹かれながら、熱々の天ぷらうどんを啜る。いつでも小腹が空けば、人種、職業を問わず受け入れてくれる、この間口の広さにどれだけ救われたか。感謝しきれない。というわけで、仕事でもプライベートでも立ち食いそば屋を見つけると、暖簾をくぐる癖が離れないのである。
先日、仕事で姫路駅に降りたった。近年、大河ドラマなどでブームになった姫路城がホームから眺められるが、ここには「えきそば」の聖地がある。「えきそば」は知る人ぞ知る、立ち食いそばのルーツともいわれ、いまやコンビニなどでカップ面が販売されるまでの人気で、全国から訪れるほど有名店なのだ。
初めて見るとその麺の色に驚くだろう。終戦後、何もない時代に小麦粉の変わりにこんにゃく粉とそば粉をまぜ、試行錯誤の結果、現在のかんすい入りの中華麺に和風だしというスタイルに変わったらしい。店内にはえきそばの歴史の沿革が貼られていて、独特の手狭な空間に、子どもからお年寄りまで、肩を並べてそばを啜ることができる。ここには最近日本人が疎遠しがちなコミュニケーションの場が存在し、そばとうどんだけで共有しあえる。
一度まだ体験していない方は、500円玉だけ握りしめ、すぐ近くの立ち食いそば屋に足を運んでみてはいかがだろうか。

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